過去に私が「絶対音感を持っている事」で 大変ショックを受けた時の事をお話します。 それは私がヤマハの指導グレード3級を受けた時の話です。 実は私、4度目でやっと合格したのでした。 1度目は全体の点数があとわずかのところで不合格。 2度目は点数の悪かったものだけ受ければいいのですが、 ここではあえて 自信のあるものを受けようと想い、 それが大きな大きな間違いでした。 3度目は。。その自信のあるものの屈辱を果たそうと受けたのですが、 3度目の正直で受けてまた落ちて。 最後の4度目では、自信うんぬんはもう捨て切って、 改めた気持ちで受けに行って、ようやく合格したのでした。 |
最初の試験で、一番点数の低かった「混声合唱編成」を、 もっと上の点数狙って受けても良かったのかも知れないけど、 ここでは一番自信のあるものを。。。もっと高い点数で、、、と。。。 1番自信のあった「はず」の聴音。 絶対音感保持者が「得意」とするはずの分野である「聴音」。 2度目はこの試験を受けたのです。 ここへ来て、がくっと崩れました。 この聴音は、8〜12小節で、メロディーとベースと、コードネームを書き取るもの。 なんだけど、なぜかヤマハのこの試験は音源がエレクトーン。 なので、右手のメロと左手の和音と、足のベースで出来てる曲です。 メロディーは普通に分かりました。 そしてそのメロに合ったコードネームも書のですが、、それも出来ました。 1番問題だったのは、ベース。バスの音域です。 私はおそらく、1オクターヴ上で音を書いてしまったと想います。。。 ピアノの聴音でもそうですが、やはり音が「高い方の音」というのは 普通に聴いても聴きやすいものです。 逆に低音は非常に聴き取りにくい。 さらに、ピアノという楽器には無い「電子の音」 「倍音」のない音がこんなにも聴き取りにくいなんて。。 はじめてでした。 絶対音感は、平均率で調律された楽器、ピアノで訓練する事が多い中、 普段聴き慣れないエレクトーンで音を聴き取るのは、 非常に困難な事だったのでした。 |
でも、4級の試験でも、1番最初に3級を受けた時にも、そんなに感じなかったことでした。 それなのに、なぜか今回はベースの音が聴こえて来ない。。。。 いや、実際には聴こえてはいるんです。 何の音を弾いているのかは分かるのです。なのに、音域が。。 まったくと言って言いほど、分からなかったのです。 この音はピアノの鍵盤で どのあたりの低さの音? それが まったく分からない。。。(汗) 全部で7回演奏されるのに、最後まで分かりませんでした。 音は合っているだろうけど。。。。 これが屈辱の2度目の試験。 3度目では、絶対挽回してやる!くらいの勢いで臨みました。 ところが、またしても分からない! 7回聴いてもまだ焦ってる人は、私くらいだったのではないでしょうか。。 ここまで聴こえないと、もうある程度勉強していかないとダメですね。 その当時グレードを師事いただいていたT先生に相談して、 教室の玄関にあったエレクトーンを試奏させてもらったのです。 そこで、ベースの音をとにかく何度も何度も確認して。 そして4度目の試験当日。 落ち着いて、今度は大丈夫、と言い聞かせながら臨みました。が、 いざ聴いてみるとやっぱり分からない! でも今回は冷静でいられました。 そういえば、以前私ったらエレクトーンを少しやってたのです。。。 それを急に想い出して(早く想い出そうよという感じですが) 自分がこの曲をエレクトーンで弾いているのだ!と想像してみました。すると、エレクトーンのベースで自分が最初に書いたこの音域はあり得ない! と確信した私は、試験時間残りあと数分のところで、オクターヴ下に書き直したのです。。 そう、またしても私はオクターブ間違えて書こうとしていたのでした。 そして、やっと合格。 でも、正直、「聴こえない」と感じたのははじめてでした。 分からないのです。本当に。。。 絶対音感は、すべての音が聴こえる訳ではないんですね。 もちろん分かる人には分かるでしょうけど。。 絶対音感は完璧なもの、と 想われがちなんですが。 決して完璧ではありません。 この欠点に気が付いた時。 自分の耳を。。。本当に捨てたくなりました。 |
しかし、その「壁」にぶつかった時、その壁を崩そうとする自分がいた事は、 今想えば本当に良かったと改めて実感します。 私がその壁を崩そうと決められるまでには、さまざまな事があり、 さまざまな周囲の教えと支えがあり、 それを受け入れる柔軟な心がなければ、とても受け入れられるものではありませんでした。 この「心」とは本当の意味で「人間の感情」そのものであり、 一言ではとても説明しきれるものでも、科学的に証明出来るものでもありません。 次は、この「心」について、お話したいと想います。 (絶対音感の欠点その(3)に続く) |